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[モーニングストーリー](6/3)池田久輝「ステイ・ゴールド」ハードボイルドな男の友情を描く刑事小説

ステイ・ゴールド [池田久輝]

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日曜日を有意義に過ごすための物語に案内するモーニングストーリー。今週は池田久輝のハードボイルドな男の友情物語「ステイ・ゴールド」を取り上げます。

あらすじ

輸送中の大量の偽ブランド品をトラックごと強奪し、裏で現金に換金するという犯罪計画を実行する3人。綿密に練られた計画だったが、そのうちの1人、リーダー格の「スズキ」が逃げた。脅すために用意しただけで実弾の入っていない「はず」の拳銃でドライバーに向けて発砲、一人トラックに乗って走り去る。残された2人「サトウ」と「タカハシ」は逃走用のバンで追いかけるがガス欠に。車を失った二人はその場で別れ逃走する羽目になってしまう。どうやら「スズキ」は一人で逃げることを画策していたようだ。

この3人は互いの素性を知らない。「タカハシ」は行きつけのバーで「スズキ」に声をかけられ、この計画に加担させられた。それは彼にとって断れない「条件」を出されたからだった。実は「タカハシ」は元警察官で、「スズキ」はそのことを知って近づいたようだ。そして犯行当日に引き合わされたもう一人の男「サトウ」はまだ20代のあまり頭のよくなさそうなチンピラ。自ら集めた二人の仲間を裏切って逃げた「スズキ」の目的はいったい何だったのか?

一方、ひったくりの事件を追っている刑事の竹部。無鉄砲に捜査を進めてしまいがちな彼の監視役として同い年の河上という刑事が相棒としてあてがわれた。かつて一匹狼だった竹部も河上の優秀な力を認め、相棒になって4年がたった今では互いを信頼しあうコンビだった。その二人が事件の聞き込みを行っていた夜、起きてしまったとある出来事が二人の人生を大きく変えてしまう…。

強奪事件に加担する3人のグループと、その事件で襲われるトラックドライバーには「スズキ」だけが知っている共通点がある。「スズキ」はそのことを意図してこのメンバーをそろえた。そこにどんな思惑があったのかを元刑事の「タカハシ」が逃げながら探っていく展開。それと並行して描かれるのが竹部と河上の刑事同士の友情物語。嫌味なキャリア上司から理不尽な理由で捜査を外されそうになっても、正義感の強い二人は独断で捜査を続ける。しかしそのことが取り返しのつかない悲劇を招いてしまう。この二つの事件が交互に語られ、別々に進行し、やがて意外な形で結びつく。

この物語はこの手のハードボイルドな警察小説にしては珍しく、男同士の友情というものを真っ向から描いているのが大きな特徴。頑固で荒くれ者だった武部の性格を理解し、相棒として、親友として彼を支える存在となった河上。同期のバディでここまで仲の良いコンビが登場する刑事ものは少ないと思うんですね。そんな友情物語が最後までカギを握ります。ちなみに京都が舞台なので関西の人には耳にすることのある地名が多く登場します。

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