外側の視点を持つこと
小沢:僕はいまだに日本にいても、エンターテイメントとニュースは英語のものだけなんですよ。それ何か、もうそうなっちゃったからっていうのがあるんですけど、そういう風にしていると外国に行った人はすぐ日本のことを褒め過ぎるとか言われちゃうかもしれないけれど、でも住んでると分からない、近くにいすぎると分からない良いところってものすごいたくさんあって。
野村:ありますね。
小沢:それの方が言いたいっていうか。だって悪いところはいたら気が付くじゃないですか。「それはいいから」って思って。「そうじゃない」って言いたくて。僕が言わなかったら、近くにいたらいいとこは当たり前になっちゃうじゃないですか。「そんなん当たり前だからさ」みたいな。例えばめちゃめちゃにメガネ金持ちの人とかいないじゃないですか、日本って。
野村:そうですね。
小沢:一人で完全に全世界の富を独占しているぞって人ってありえないじゃないですか。
野村:1パーセント対99パーみたいなね。そういう人は少ないですね。
小沢:それでアメリカだのメキシコだのお金持ちってホントに桁が違うので。メキシコなんかすごいですよ。それに比べるとそういうのがないのでね、「ああ、結構すごい変わってないなあ」って。でも変わってないのが悪いところもあるんだろうけど、でも悪い方はあまり言わないでいようと思います。だって悪いとこはみんな知ってるし。
野村:でも外から今おっしゃったような見る視点って、大事ですよね。
小沢:何かね、それ自然なんですけどね。それをやりたいってわけじゃないけど、自然にそうなってしまって。
野村:僕も常に持っときたいですもん。自分が絶対にどっか1か所に、”自分はここの人間”ていうのがあんまり僕ないんですよ。どこにいても異邦人なところがあって、それは僕の中でそうありたいんですよ。ここまで来たら。会社とかかかわってる仕事のこともそうだし、趣味のところでもいいし、街もそうだし。常にもう1個外側の視点を持ってないと、きついなと思って。
小沢:そう、外側の視点を持ってる人は外側の視点を持ってる役割があって。
野村:でも結果的に小沢さん、好むと好まざるとにかかわらず
小沢:東京にいるとそうですね。みんな。でももうなるべく話すことは話すし、お伝えするものはざっくばらんにお伝えして。
野村:だからインタビューで”何も本当のことを言っていないじゃない”って。これは小沢健二、確実に変わったところと言えるかもしれないですけど、今日も絶対に今、思ってないことをおっしゃってないと思うし。
小沢:なんでしょうね。それ、岡崎さんが言ってたんだけど。
野村:岡崎さんが言うんだったら本当じゃないですか。
小沢:だけど、例えば22とか23でインタビュー受けてる子で、ホントのこと言ってる子ってあんまりいないと思いますよ。だってインタビューを受けること自体が結構異常なことだから。その違和感が大きい人が大多数とは言わないけど、一部には「ええ、何これ?なんで1日8本とか取材受けてるの?」って思ってる人って絶対います。
野村:それはもろもろ、業界の構造上の問題です。
小沢:業界の24秒ルールが。
野村:あって。で、大体もう一つ言うと紋切り型のね、質問等フォーマットが全体的に流布してるから、それは聞かれる方は大変だろうなと思って。しかもまだハタチ過ぎだったらちょっとカッコいいとこも見せといた方がいいかもしんないし。
小沢:その辺がまたしょうもないですね。
野村:だからこそなんですよ。だからこそ、羽田に降り立った小沢健二さんはインタビューで…対談させてもらうとは夢にも思ってなかったですから…どんどん100個くらい質問考えて、片っ端からお答えいただこうかぐらいに思ってましたけど、フラットに、フォーマットと違う感じで。台本もないですからね。こうやってお話しできるっていうことに今の小沢健二さんはなってらして
小沢:こういう風に話してる限りは僕もいろいろもらえますからね。
野村:そうですか、そういっていただけると。でしかもライブでも。こないだの大阪のZEPP、僕拝見…
小沢:ありがとうございます。うわあ
野村:拝見したんですけど、初めての僕にとっての小沢健二で
小沢:じゃあ新曲7曲。解説すると、2016年のライブは半分くらいが新曲で全く誰も聴いたことがない曲をいきなりやるという
野村:それも含めて僕にとってはもろもろ初めてだったんですよ。だからそういう意味でも小沢さんが日本に戻ってこられたっていうのが、すごい面白かったですよ。これから何があるんだろうって。
小沢:ありがとうございます。
野村:思って。その意味でも4月の29日でしたっけ。大阪城ホール。
小沢:日曜日。
野村:また何かもう…これ?
小沢:36人編成ファンク交響楽って書いてある。
野村:ほら、もう聞いたことないもん
小沢:これは何かノリでサイトに書いたんですよ。”36人編成ファンク交響楽”、ホントに編成はそうなんですけど、一言でなんていうかなと思って。ホントはあんま考えないで書いたんですけどみんな気にいってくださって。だからすごい変わったっていうか…でも城ホールが29日空いてるっていうのを聞いた時に「絶対いい」と思って。ゴールデンウィークですよ。すごい編成でやりたいなと思って。
野村:36人編成。360度客席。しかも芝居か相撲かっていう”砂被り席”。どんな砂が。何なら砂かかりたいってところもありますから。今日は僕が砂被り席で話を伺いましたけど
小沢:すっごい遠い2000円席っていうのもあります。2000円なんですよ。
野村:それも面白い。
小沢:これ別に遠いからってことでもなく、何かあったらいいかなって思って。
野村:そうですよ。だってライブなんて360度だもん。誰も全体を把握できないわけですよ。どっからどんな角度でどんなカット割りするかっていうね。これは客次第ですから。
小沢:そうだし、別に僕、城ホール全部の1個の空間がふーっとできるはず、と思っています。だからどこにいても一緒な気もしなくはないです。城ホール全体の感覚としては。
野村:見に行きます。
小沢:ぜひ
野村:楽しかったです。
小沢:ありがとうございます。
野村:すいません。どこへ行くやら分からない話のままでしたけど。
小沢:いやありがとうございます。そのスリル、アドリブ、ジャムセッションホントよかったです。
MUSIC:小沢健二と満島ひかり「ラブリー」
- ラブリー、東京湾上屋形船Liveは雨
小沢健二と満島ひかり
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