今回は2024年に周年を迎えるラジオ局を調査していきます。
周年を迎えるということは区切りの年になることなので、ほかの業種同様、ラジオでもいろいろな動きを見せます。開局記念ということで特別番組を制作することもあれば、イベントを組むことも多々あります。そこで今回は2024年に区切りの年になるラジオ局を見ていきたいと思います。
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区切りの年になる民放ラジオ局
2024年に区切りの年になる民放ラジオ局は次の17局です。開局年が新しいものから順に並べています。
- 1999年4月1日
(25周年) - 岡山エフエム放送
- 1994年4月1日
(30周年) - エフエム栃木
- 1989年4月1日
(35周年) - エフエム山形
- 1989年6月1日
(35周年) - FM802
- 1989年10月1日
(35周年) - ベイエフエム
- 1984年9月1日
(40周年) - エフエム沖縄
- 1984年12月1日
(40周年) - エフエム宮崎
- 1984年12月18日
(40周年) - 福井エフエム放送
- 1969年12月24日
(55周年) - エフエム愛知
- 1959年4月1日
(65周年) - 和歌山放送
- 1954年1月1日
(70周年) - 九州朝日放送
- 1954年3月1日
(70周年) - 山陰放送
- 1954年7月1日
(70周年) - 山梨放送
- 1954年7月1日
(70周年) - 宮崎放送
- 1954年7月15日
(70周年) - ニッポン放送
- 1954年8月27日
(70周年) - 日経ラジオ社
- 1954年10月1日
(70周年) - 琉球放送
九州朝日放送と山陰放送は年度で言えば2023年度になるわけですが、2024年で70歳になるのでここでは区切りの年として入れています。では一つずつ見ていきましょう。
1999年開局(25周年)
岡山エフエム放送
FM岡山は1998年4月14日に設立し、1999年4月1日に開局。2024年で25周年を迎えます。開局当初からJFNに加盟し番組の供給も受けています。自社ワイドは平日朝の「Fresh Morning OKAYAMA」、夕方の「TWILIGHT PAVEMENT」、金曜の「牛嶋俊明 ドリームファクトリー」で週末の自社番組も30分の公開生放送な「Ario Happy Saturday」など控えめな形ですね。
1994年開局(30周年)
エフエム栃木
Radio Berryことエフエム栃木は1993年4月1日に設立、1994年4月1日に開局しました。愛称の「Radio Berry」は純粋にリスナーの求める情報と音楽を追求する姿勢からあえて”エフエム”としていないこと、および栃木名物のイチゴから世代を超えて親しまれ、いつも若くみずみずしいラジオ局でありたいとの思いからつけられました。
開局当初からJFNに加盟し番組の供給も受けています。月曜から木曜の朝に「B-SIDE WAVE」、夕方に「B・E・A・T」が、金曜朝に「Flying Friday」、昼から夕方の大型番組として「RBZ friday」と4本のワイド番組を編成。そのほか30分のアーティストプログラムを多く制作しています。
ステーションロゴやホームページはイチゴの赤をイメージした色を中心としており、ジングルもかなり洗練されています。最新の交通情報のBGMはあの東海ラジオが2022年10月から同じものを使用しています。
ほかにも毎年夏に開催される野外ロックフェス、ベリテンライブも主催していますね。開局30周年の2024年はスケールアップするのかな?
1989年開局(35周年)
エフエム山形
Rhythm Stationことエフエム山形は1988年9月1日設立、1989年4月1日に開局しました。即日JFNに加盟し番組の供給も受けています。自社ワイド番組は月曜から木曜の「WAVE4 yamagata EXPRESS」及び「WAVE4 yamagata music」と「RAMP」、金曜の「マジフラ」と夕方に編成されているのみ。週末の自社制作率も低く全体的にJFNC制作のワイド番組を多く取り入れています。35周年で自社番組増やすとかの動きはあるのでしょうか?
FM802
FM802は1989年6月に開局して2024年で35周年となります。2023年4月には深夜枠を中心とした改編が行われ、LNEMでデビューしたDJが昼のワイド番組に昇格しました。周年となる5年ごとにアーティストが担当する特別番組「YOUR RADIO 802」を放送していますが、2024年は金曜17時からの1時間枠で放送されることになりました。
また802と言えばイベントに注力しまくっておりこれが売上でも重要な位置を占めています。35周年でさらに大掛かりなものになるのかにも注目したいところです。
ベイエフエム
Bay FMは1988年10月28日に設立され、翌1989年10月1日に株式会社エフエムサウンド千葉として開局しました。どこのネットワークにも属さない、独立系ラジオ局の一つで都市型の生活者を意識した編成を行っています。愛称でもある”ベイエフエム”は2004年正式な会社名として付けられ、ステーションコンセプト「LOVE OUR BAY」とともに海や自然を守る環境活動に取り組むというメッセージを発信しています。
35周年を迎える2024年より視認性の高いロゴにリニューアル。こんな感じです。海のような濃い青をイメージとした色使いかつコンセプトメッセージの「LOVE OUR BAY」を下に配した形となっています。
1984年開局(40周年)
エフエム沖縄
さて、皆さんはエフエム沖縄がかつてAM局だったことをご存じでしょうか?実は極東放送という、宗教法人が運営する宗教放送局として開局したのがエフエム沖縄のルーツ。放送局がキャンプキンザーというアメリカ海兵隊駐屯地に隣接しているのもこの名残なのです。しかし本土復帰によりアメリカの宗教法人が持っていることなどがネックとなり放送継続が困難に。その後いろいろな取引等があり一切合財を日本の財団法人に引き継ぐなどして何とか放送を継続することができ、さらに宗教法人だった当時からコマーシャルがなく音楽がフルにたくさん流せたことからFM局転換への志向が強まり、エフエム沖縄として開局したのが1984年9月1日でした。
開局と同時にJFNに加盟し番組の供給も受けています。翌年には現在も放送されている「ハッピーアイランド」がスタート。この番組を軸に30年近く続く「For PM」や10年以上続く朝の「Fine!」、午後の「ゴールデンアワー」と長寿ワイド番組が連なり平日の自社制作率はかなり高くなっています。
エフエム宮崎
JOY FMことエフエム宮崎は1984年5月4日に設立、1984年12月1日に開局、即日JFNに加盟し番組の供給も受けています。夕方のワイド番組「Radio Paradise 耳が恋した!」が20年以上続く長寿番組となっています。
ほかに平日を中心に自社制作番組が多く朝の「JOY FM HYBRID MORNING」「ら・ら・ラジオ」、昼の「グッドタイム」、金曜日には「Bunnyのナツウタ」「マダムとマドカの魔女会」「Super Friday DJ Pocky’s Radio Show! WEEKEND JAM」といったワイド番組のほかに30分から1時間の番組も制作されています。
40周年に先駆け、2024年春には現在のテレビ宮崎敷地内にあるUMKスポーツスタジオより本社を移転させることが予定されています。
福井エフエム放送
福井エフエム放送は1984年2月20日に創立し、12月18日に開局、当日からJFNに加盟し番組の供給も受けています。自社制作番組は朝ワイド「Morning Tune」「Weekend Shower」と夕方ワイド「Update Evening!」、金曜縦枠のワイド番組「HIGHLIGHT FRIDAY」が中心。開局30周年で設定された「Colors.」というキャッチコピーは更新されるのでしょうか?
1969年開局(55周年)
エフエム愛知
さて問題です。日本で最も古いFMの民放ラジオ局はどこでしょうか?「TOKYO FM」と答えたあなた、残念でした。TOKYO FMが本放送を開始した1970年より前の1969年12月24日に開局したのが日本最古のFMの民放ラジオ局、エフエム愛知なのです。ちなみに愛知県ではCBCラジオ(当時の中部日本放送)が1951年に日本最古の民放ラジオ局として開局しているため、日本最古のAMとFMのラジオ局が存在するというラジオの歴史を語る上で重要な地域となっています。
JFNの加盟局で発起人でもあるほどJFN系列の中心の一つではあるものの、近年は豊富なローカル情報としっかりフルで聴かせる音楽という堅実な印象と、若干有線放送みたいな感触で2way感に欠けるような雰囲気もあり(直近ではまた2way感を出しつつあるような)、特に最近の愛知のラジオ界ではZIP-FMのナビゲーター一掃に端を発した東海ラジオのリブランディング、インターネットラジオのHeart FM、トークを前面に出して注目をさらに浴びようとするCBCが存在感を示す中でなんとなく埋没しているような気がしなくはないような感じもします。55周年でどんな動きを見せるのかが注目です。
1959年開局(65周年)
和歌山放送
WBS(Wakayama Broadcasting System Co., Ltd.)こと和歌山放送は1958年8月23日設立、1959年4月1日に開局しました。NRN/JRNのクロスネット局。和歌山の本局のほかに田辺支局と新宮支局があり、今ではすっかり珍しくなった地域別のワイド番組が平日午後に編成されています(以前は新宮もこの枠で独自のワイド番組を制作していた)。かなりローカルに根差した番組作りが特徴。
1954年開局(70周年)
九州朝日放送
KBC(KYUSHU ASAHI BROADCASTING CO., LTD)こと九州朝日放送は1953年8月21日設立、翌1954年1月1日に開局しました。ラジオの自社制作率が約70%と高く、現在も続く「PAO-N」などの人気番組を多く配しています。
ラテ兼営局の一つでテレビがANN系列、ラジオはNRNシングルネット。2023年4月に「地域をプロデュースする」力を高めるため”KBCグループホールディングス株式会社“という放送持株会社に移行し、その傘下に放送事業等を承継した九州朝日放送が付く形となりました。
山陰放送
BSS (Broadcasting System of San-in)こと山陰放送は1954年3月1日に「ラジオ山陰」として開局、その後1959年12月よりテレビ放送を開始、それにともない現在の西福原に新社屋を移転し、1961年より名称を現在の”山陰放送”としました。
ラテ兼営局でテレビはTBS系列、ラジオはNRN/JRNのクロスネット局です。ラジオの自社制作率は45%を超え、毎日放送されている開局以来の長寿番組「音楽の風車」が代表格となっています。ギャラクシー賞のDJパーソナリティー賞を受賞した森谷佳奈アナウンサーが在籍していることでも知られています。
山梨放送
YBS(Yamanashi Broadcasting System)の略称で知られる山梨放送は1954年7月1日に開局。当時の名称は「ラジオ山梨」でした。山日YBSグループの中核をなすラテ兼営局で、テレビがNNN系列、ラジオはNRN/JRNのクロスネット局です。開局70周年を迎えるにあたり、さっそくキャッチコピーとイメージコンセプトが発表されました。
「ジャーン!YBS」 。これを聞いた瞬間の戸惑い、ハンパなかったな…。
宮崎放送
MRT(Miyazaki Radio & Television)の愛称で知られる宮崎放送も1954年7月1日に開局。ラテ兼営局でテレビはJNN系列、ラジオはNRN/JRNのクロスネット局です。近年は県内各市町村との包括的なパートナーシップを進めています。2026年に向けて新社屋を建設する予定だそうです。エフエム宮崎も移転するし、宮崎のラジオ界もいろいろ変わりますね。
さて問題です。MRTのアナウンサーの”外種子田結“さん、この名前、何と読むでしょうか?1日考えてもわからなかった。
ニッポン放送
ニッポン放送は1954年7月15日に開局、文化放送とともにNRN(全国ラジオネットワーク)のキーステーションでもあります。ビジネスマン向けの朝の番組、主婦向けの午後の番組、若者向けの夜の番組といった時間帯に合わせてターゲット層を区分けした番組を編成する”オーディエンスセグメンテーション”をいち早く導入したラジオ局で、いまや全国30局以上でネットされている深夜の名物番組「オールナイトニッポン」をはじめ数々の長寿人気番組を制作して、深夜枠を中心に旬の芸人やアーティスト、アイドルを起用しています。最近はradikoのデータを利用してのオーディオアドなどネット広告に注力したり、「オールナイトニッポン」などをPodcastで配信したり、中には配信有料コンテンツをリリースするものもあったりしてラジオ業界の中でも割と元気な感じがします。70周年に向けてどんなコンテンツを発信するのか注目です。
日経ラジオ社
ラジオNIKKEIこと株式会社日経ラジオ社は1954年7月1日に創設、1954年8月27日に開局しました。「ラジオたんぱ」と呼ばれていた時代もあるくらい、短波を使用する特性を生かして民間放送では唯一の全国放送、並びにラジオ1局2波体制をとっています。ラジオNIKKEIの主な番組というと株式相場や投資といったマーケティング情報と競馬中継がおなじみですね。最近ではひたすら曲を流す時間帯もあるなどバリエーションが広がりつつあります。
琉球放送
RBC(Ryukyu Broadcasting Corporation)こと琉球放送は、1954年10月1日に沖縄県初の民間放送として琉球大学構内(現在の首里城)よりラジオ放送(KSAR)を開始。当時はアメリカに統治されていたことから翌年に米軍基地の在留外国人向けに英語放送(KSBK)も行い、1973年までラジオ1局2波体制をとっていました。1960年にテレビ放送が始まり1972年5月15日の本土復帰により純然たる日本の放送局に。2002年にラジオ放送の名称を現在の「RBCiラジオ」と命名。
沖縄民放の老舗かつ唯一のラテ兼営局。ラジオがJRN(ジャパンラジオネットワーク)シングルネット。テレビはJNN系列。特に琉球の歴史や文化に切り込んだドキュメンタリーの制作に定評があります。またラジオ番組ではYoutubeを使っての同時配信など全国のリスナーを意識した番組作りも進めていて、一部の番組では全国区の人気になっているものもあるようです(太田光に目をつけられたあの番組など)。
毎年3月4日は「ゆかる日 まさる日 さんしんの日」として三線や琉球民謡をフィーチャーした日を提唱、12月中旬には「子どもたちに夢を!RBCiラジオまつり」が開催され、児童養護施設を卒業し、自立を余儀なくされる子供たちへの支援を行うチャリティーイベントを展開しています(“子どもたちに夢を”のタイトルがついているのはこのため)。
そして、70周年を迎えるにあたり、新たに企業の存在意義を示す「パーパス」と「スローガン」の策定、ロゴデザインの変更を実施します。パーパスは”五感を揺さぶるコンテンツ創造と発信を通じ、沖縄の「いま」と「未来」に寄り添い続ける“。これを基にしたスローガンは”一生によりそう一秒を“。そして新たなロゴは沖縄の美しい海や空をイメージした青色の星とそれを際立たせる重厚感ある黒文字を使用した視認性のあるデザインになりました。
まとめ
すでに山梨放送やベイエフエム、琉球放送のように周年に合わせてキャッチコピーを新たに作ったりロゴを新装したりするもの、宮崎の2つのようにスタジオが周年に合わせて移転するものなど動きを見せているラジオ局が登場しています。今後はさらにこのような動きがみられるのではないでしょうか。個人的にはお祭り好きなニッポン放送や番組よりもイベント重視的なスタンスのFM802あたりが仕掛けてくると踏んでいます。