どうもです。さて、米津玄師の「感電」がFM802「OSAKAN HOT 100」の30年の歴史において初めてとなる初登場1位を記録しました。これを歴史的と取るかどうかは読者次第として、個人的にはこれは汚点だと考えています。というのも「初登場1位、そりゃ取れるでしょ」と言わんばかりのお膳立てを整えた結果がこうなったといえます。今回はその裏事情も交えつつ、”なぜ1位にさせられたのか”を見ていきたいと思います。
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オンエア数が酷すぎる
まず「感電」がオンエア解禁となったのは、ダウンロード限定での配信が始まった7月6日でした。初オンエアは当然ながら朝の番組「TACTY IN THE MORNING」でしたね。リクエストに応えてのオンエアでした。ここまではごく普通ですよ、問題は、その後のオンエアスケジュール。先週1週間で実はこうなっていました。
7月6日
- TACTY IN THE MORNING
- UPBEAT!
- 802 RADIO MASTERS
- EVENING TAP
- ROCK KIDS 802
- MIDNIGHT GARAGE
- LNEM
7月7日
- TACTY IN THE MORNING
- UPBEAT!
- 802 RADIO MASTERS
- EVENING TAP
- ROCK KIDS 802
- Poppin Flag
- LNEM
7月8日
- TACTY IN THE MORNING
- UPBEAT!
- 802 RADIO MASTERS
- EVENING TAP
- ROCK KIDS 802
- WONDER POP
- LNEM
7月9日
- TACTY IN THE MORNING
- UPBEAT!
- 802 RADIO MASTERS
- EVENING TAP
- ROCK KIDS 802
- RADIO INFINITY
- LNEM
7月10日
- BRIGHT MORNING
- Friday Crusin’ Map
- Awesome Fridays
- ROCK KIDS 802
- ROCK ON
- 802 DINOSAUR
7月11日
- WEEKEND PLUS
- SAI AM
- SAI PM
- MAGIC NUMBER 802
- RADIO FIELDS
- ROCK KIDS 802
- Buggy Crash Night
- 802 Palette
7月12日
- WEEKEND PLUS
- SUPERFINE SUNDAY
- OSAKAN HOT 100
- Chillin’ Sunday
- Grace Place
- BINTANG GARDEN
- MUSIC FREAKS
- 802 MORNINGSCAPE
このように早朝から深夜まで切れ目なくオンエアされていることが分かります。水曜に至っては7番組すべてでオンエアされるという、ヘビロ並みの待遇。
1週間でのオンエア数37回というのはヘビーローテーションやキャンペーンソングでない限り出せない数字。オンエア番組率で見れば75%。4つの内、3つの番組がかけていた。かけてない番組を出すのが早いくらいだったと言うことですね。
もはや選曲の差別化もオーディエンスセグメンテーションも全く考えてないような異常なバランス。深夜のエッセンシャルワーカーも、昼間の主婦も、夜のラジ友もみんな同じアーティストの同じ曲をホントに欲してるんでしょうかねえ?
では、今回のアンバランスなオンエア数となった要因をいくつか見てみましょう
考えられる要因
相次ぐイベントキャンセル
本来であれば例年の今ごろは「MEET THE WORLD BEAT」が開催されていたはず。そうであれば出演アーティストの曲をかけまくることが出来たでしょう。それだけじゃない、フジロックもロッキンジャパンもライジングサンもワイルドバンチも、802が目当てにしていたフェスはすべて潰れた(現時点で今年限定のスパソニは保留状態ですが、多分ダメでしょう)。アーティストの夏の目標がついえたように802も選曲リストから外してしまった…。
五輪が延期となったのも大きいですね。「サザンカ」とか「Volt-age」に代表されるように、五輪とかワールドカップ絡みの楽曲って上位に来やすいんですよ。それが延びたことでこの面でもかける曲がなくなってしまった。その上
相次ぐフィジカルリリース延期
“緊急事態宣言”が出された4月からはレコーディングそのものに影響が出るようになっただけでなく、フィジカルを店頭に置くこともできなくなり、結果リリースそのものを見送る動きが出てきました。例えばセカオワは今年ベストアルバムリリースを発表していたんですよね。ところがツアーがつぶれ、シングルリリースのスケジュールも狂ったことで今年のベストリリースを見送ることとなった。海外は更に顕著でWeezerがオリジナルアルバムを1年見送り、アリシア・キーズやワンリパブリック、ボンジョヴィはスケジュールが白紙になった。サムスミスに至ってはタイトルを変えてリリースすることを明らかにしている。リリースされたとしても配信から1か月以上してからフィジカルが出るなど、ピークを過ぎた状態でリリースされるパターンばかり、しかも思うようなプロモーションができない、フィジカルを引っ提げてのライブも配信くらいしかできない。
で、手探りの状態ながら逆転の発想でリモートワークによる楽曲制作、ストリーミング配信を積極的に取り入れたアーティストも数多くいる。ところがそうやって発表された楽曲はイレギュラーだからなのか、オンエアがいたって芳しくない。
だんまりを決め込んだアーティストの勝ち
その結果、必然的にかけるアーティストが限られてくることになる。緊急事態宣言時のリリースを見やって、この時期に予定通りにフィジカルを出せる常連アーティスト、しかも強固なタイアップが付いているもの。おそらくは各々DJもここまで米津玄師をかけようとは思ってなかったはず。だが、ネタがない。よって仕方なくというか「とりあえず米津かけておけば問題ないだろう」という心理が働いたんじゃないですかね。そういう消極的な理由でもって、30年の歴史が塗り替えられると言うことを、どう思いますかという話です。
もはやだれも注目しなくなったOSAKAN HOT 100
ここまで来たら3位より上を目指したいねえ https://t.co/lLQntD0F20
— 江﨑文武 / Ayatake Ezaki (@ayatalce) July 5, 2020
HEY 調子はどう?
ノースウェーブからhello!Keep Calm and Carry On
それでも、
ELL
ランクアップ!皆様ありがとうございます🙇♂️
— 笠原瑠斗_staff 5.19 「それでも、」配信release (@fitstage1122) July 13, 2020
ZIP-FM「ATEAM ZIP HOT 100」
4/1リリース2nd EP 『samsara』より
「Fanfare」が35位!!!!沢山のリクエストありがとうございます!!@ZIP_HOT_100 #ziphot100#Kream#Fanfare
radikoタイムフリー🔻
ATEAM ZIP HOT 100 https://t.co/uEuiQHD6pw— Kream Official (@Kream_jp) March 29, 2020
こちらは各局のHOT100に対するアーティストのレスポンスです。J-WAVEやノースウェーブでは1位でなくともランクインしているアーティストがリアルタイムで反応しています。洋楽メインと言われているZIP-FMでさえも、ランクインしている地元ロックバンドが反応します。
では802はどうでしょう?1位を獲っても反応しているアーティストってここ最近だとバニラズかドロスかあいみょんスタッフくらい…チャートインそのもので見ても河内REDSとかジャックリザードさんとか。なんかJFLのHOT100の中でも存在が一番薄くなってさえいるんではないでしょうか?
まとめ
今回、米津玄師「感電」が初登場1位となった背景には
- 相次ぐイベント中止、五輪の延期、リリスケの変更によりオンエアされる曲が少なくなった
- リモートワークによるサプライズ的な新曲リリースではオンエアが全体的に芳しくなかった
- 逆に予定通りにフィジカルがリリースされ、大型タイアップの付く常連アーティストはオンエアされやすかった
それにしても1週間で全番組の75%でオンエアされるというのははっきり言って異常としか言いようがない。始めからオンエアありき、1位ありきでかけまくっているのが露わになったといっても過言ではありません。もっと他のアーティストを掘り出すチャンスでもあるし、リモートワークの新曲をもっと増やしてもいいものをなぜかオンエアが手控えられてしまう。これってどうなんでしょうか?
というか、イベントができないと802ってこうもアイデンティティがないFMステーションになってしまうのでしょうか?J-WAVEなどは赤字覚悟でキャンペーンを展開して、自宅やいろんなところでの無観客なオンラインライブのスペシャルを放送したり、飲食店の紹介を行ったり、今以上にアーティストのシェアを行ったりしている印象を受けます。一方で802は両翼をもがれた鳥のようにキャンペーンもできず(アクキャンは別として)、瑛人の「香水」がバズったらそれに乗っかり、YOASOBIの「夜に駆ける」が取り上げられ始めたらそれに乗っかり、かと思ったらZIPやノースで先にブレイクした緑黄色社会の「Mela!」をアルバムの配信リリース後に今更ながら激プッシュし、なぜか2か月以上も大量オンエアし続ける。そして米津やヒゲダンがリリースすれば今まで以上の爆オンエア。こんなに流されまくり、迷走しまくりでNo.1FMステーションと言えるのでしょうか。そして、依然リリース状況が不安定な状況の中で真っ当なランキングが出来ると思っているのでしょうか?
今回確信したことがあります。それは30年続く「OSAKAN HOT 100」、もう役目を果たしたんじゃないでしょうか?もうコアな大阪のデータだけを使っているわけではないし、偏向オンエアだけで順位は決まるし、プッシュするアーティストが他の地域から遅れてたりするし、そもそもプッシュしたアーティストが大阪だけでもセールスのシェアが高いのかどうか分からないし、SNSでのアーティストの反応も薄いし…。早いこと、番組にけりをつけた方がいいと思うのは私だけでしょうか?