Contents
実証実験参加局
前置きが相当長くなりましたが、ではどのラジオ局が実験に参加するのかをこちらでまとめました。実験には3つのパターンがあり
- 親局も含めたAMを全局停止する
- AM親局は運用させ、中継局をすべて停止する
- AM親局は運用させ、中継局の一部を停止する
となっています。詳しいスケジュールはこちらも参考のほど。
山口放送
停止する中継局 | 周波数 | 停止予定期間 |
---|---|---|
須佐田万川局 | 765kHz | 2024年2月5日~2025年1月31日 |
萩局 | 1485kHz | 2024年2月19日~2025年1月31日 |
山口局 | 765kHz | 2024年3月4日~2025年1月31日 |
岩国局 | 918kHz | 2024年4月29日~2025年1月31日(4月1日~4月28日減力期間) |
下関局 | 918kHz | 2024年5月27日~2025年1月31日(4月29日~5月26日減力期間) |
周南局(親局) | 765kHz | 2024年7月29日~2025年1月31日(5月27日~7月28日減力期間) |
13局中唯一AM親局である周南局も停止させる予定の山口放送はすでに14のFM中継局を運用しており、山口県のほぼ全域でFM放送を聴取可能となっています。FM化についていち早く取り組んでおり、瀬戸内海側は92.3MHz、日本海側は86.4MHzでの「FM同期放送」を実施。同じ周波数が重なる干渉エリアでの雑音問題やそのために中継局の距離をとる必要が出ることで生じる電波の届かないエリアといった課題をクリアに、音声もクリアにしています。
茨城放送
停止する中継局 | 周波数 | 停止予定期間 |
---|---|---|
土浦局 | 1458kHz | 2024年2月1日~ |
関城局 | 1458kHz | 2024年2月1日~ |
Lucky FMこと茨城放送は水戸の親局を残し中継局2つを停止。この二つは補完FM局であるFMつくば局88.1MHz、FM水戸局94.6MHzで聴くことができます。実験の期間が申請時の7月31日からさらに半年延長されています。
北陸放送
停止する中継局 | 周波数 | 停止予定期間 |
---|---|---|
七尾局 | 1107kHz | |
山中局 | 1485kHz | |
輪島局 | 1107kHz |
北陸放送は中継局3局を停止。休止するエリアは山中局は金沢FM局94.0MHz、輪島局の一部が輪島FM局77.1MHz、七尾局の一部を七尾FM局88.8MHz、珠洲FM局76.7MHz、羽咋FM局93.1MHzで補完しているほか、親局の金沢局1107kHzでも聴くことができます。
当初は2024年4月からの実験開始を予定していましたが、2024年1月1日の能登半島での震災の影響により実験の時期が延期されることとなりました。この震災では輪島ワイドFM中継局で非常用電源のバッテリーが枯渇し、一時停波状態にもなるなど被害も出ています。2024年2月時点では8月からの実験開始を予定しているものの、被災地の復興などの状況いかんではさらなる延期の懸念もあります。災害時にAM放送を再開するというのが実験の前提条件ですし、この状況で実験というわけには行けないんでしょうね。
福井放送
停止する中継局 | 周波数 | 停止予定期間 |
---|---|---|
敦賀局 | 1557kHz | 2024年2月5日~ |
小浜局 | 1557kHz | 2024年2月5日~ |
福井放送は嶺南と呼ばれる中継局2局を停止。休止するエリアは嶺南地域のワイドFM周波数93.6MHzで聴くことができます。実験の期間が申請時の8月4日からさらに半年延長されています。
岩手放送
停止する中継局 | 周波数 | 停止予定期間 |
---|---|---|
田野畑局 | 1062KHz | 2024年2月1日~2025年1月31日 |
岩手放送は田野畑FM中継局(81.5MHz)開局により、田野畑村・普代村でクリアなFM音声が聴けるようになりました。これに伴い、これまでのAM・田野畑局を1年間の予定で休止する方向になっています。
新潟放送
停止する中継局 | 周波数 | 停止予定期間 |
---|---|---|
長岡局 | 1062kHz | 2024年2月5日~ |
柏崎局 | 1062kHz | 2024年2月5日~ |
新潟放送は長岡と柏崎の2局を停止。補完FM局である新潟FM局の92.7MHz、または高田FM局などの94.8MHzで聴くことができます。また、親局新潟AM局の1116kHzでもカバーされています。実験の期間が申請時の9月1日からさらに半年延長されています。
南海放送
停止する中継局 | 周波数 | 停止予定期間 |
---|---|---|
新居浜局 | 1116kHz | 2024年4月1日~ |
宇和島局 | 1116kHz | 2024年4月1日~ |
八幡浜局 | 1116kHz | 2024年4月1日~ |
南海放送では新居浜、宇和島、八幡浜の3エリアで実証実験を実施。それぞれのエリアにすでに補完FM局が運用されており、新居浜91.7MHz、宇和島91.7MHz、八幡浜91.2MHzで聴くことができます。今回の実験に入っていないエリアにもすでにワイドFM局があり、実に愛媛県の94%をカバーしているとのことです。実験の期間が申請時の9月30日からさらに半年延長されています。
RKB毎日放送、九州朝日放送
停止する中継局 | 周波数 | 停止予定期間 |
---|---|---|
行橋局 | KBC:1485kHz、 RKB:1062kHz | 2024年2月5日~ |
RKBラジオとKBCラジオは共同で行橋AM局を運用休止します。休止するエリアでは行橋補完FM局(KBC 92.7MHz、RKB 94.8MHz)、北九州FM局(KBC 94.0MHz、RKB 91.5MHz)、北九州AM局(KBC 720kHz、RKB 1197kHz)で聴くことができます。実験の期間が申請時の8月4日からさらに半年延長されています。
長崎放送
停止する中継局 | 周波数 | 停止予定期間 |
---|---|---|
佐賀局 | 1458kHz | 2024年2月5日~2025年1月31日 |
唐津局 | 1458kHz | 2024年2月5日~2025年1月31日 |
伊万里局 | 1116kHz | 2024年2月5日~2025年1月31日 |
有田局 | 1458kHz | 2024年2月5日~2025年1月31日 |
そしてここがややこしい。長崎放送は佐賀県域の4つすべて中継局を停止させます。佐賀FM局 93.5MHzか鳥栖FM局 92.1MHzで佐賀県内をほぼカバーしているためこの2つで聴くことができます。佐賀の親局を止めるため、ある意味”親局も含めたAMを全局停止する”パターンでもある一方で、長崎の放送局の方はすべて実験を見送るという対照的な措置をとっています。
熊本放送
停止する中継局 | 周波数 | 停止予定期間 |
---|---|---|
荒尾局 | 1197kHz | 2024年2月5日~2025年1月31日 |
熊本放送は荒尾局を停止。RKK熊本FM(91.4MHz)で聴けるほか、ほかの送信所からのAM電波(同じ周波数)でカバーしています。
南日本放送
停止する中継局 | 周波数 | 停止予定期間 |
---|---|---|
阿久根局 | 1107kHz | 2024年2月1日~2025年1月31日 |
川内局 | 1107kHz | 2024年2月1日~2025年1月31日 |
大口局 | 1107kHz | 2024年2月1日~2025年1月31日 |
南日本放送は阿久根、川内、大口の3中継局を運用休止。補完FM局の北薩局の93.7MHzで聴くことができます。
東海ラジオ
停止する中継局 | 周波数 | 停止予定期間 |
---|---|---|
下呂局 | 1485kHz | 2024年7月1日~2025年1月31日 |
恵那局 | 801kHz | 2024年7月1日~2025年1月31日 |
上野局 | 1557kHz | 2024年7月1日~2025年1月31日 |
新城局 | 1332kHz | 2024年8月1日~2025年1月31日 |
豊橋局 | 864kHz | 2024年8月1日~2025年1月31日 |
東海ラジオはAM親局を残し、中継局9つのうち5つを運用休止します。場合によっては休止期間の延長や廃止の可能性もあるということです。休止となるエリアは補完されているFM92.9MHzか現親局のAM1332KHzで聴くことができるようです。
で、東海ラジオは当初中継局すべてを停止するよう申請したんですけど、高山局、尾鷲局、熊野局及び神岡局の4つが補完FM局やAM親局をもってしても運用休止前の世帯・エリアカバー率が最大限維持できるような状態になってなかった(あまねく努力しきれていなかった)ためNGを食らってしまった、とのこと。
「源石和輝! 抽斗!」で今回の話題を取り扱ってAMラジオの必要性を訴えていたら、1年後にザ・FMな番組「Bre:eze」に代わってしまったという。局自体がFM転換にあまりに前のめりになり、FM局のDJを多く取り入れ、番組やジングルもそれ仕様にして、FM92.9を強調して、AMを休止させようとしたら世帯カバーしきれてないところがあったという、なんだかなあ。
最後に
正直、FM転換への課題は山積しています。FM中継局のさらなる整備の必要性、トンネル等のエリアカバー、ワイドFM対応受信機の普及促進、既存の地上FM放送事業者との競合(放送対象地域が広域なAMが同じ規模でFM転換した場合の、都道府県域単位を対象とするFMとの間での競争環境が公平であるか)などなど。ただ、もうFM転換はもうポイント・オブ・ノー・リターンのところまで来ているのは間違いないですね。
ということでこの13局が入るところでラジオを聴いている皆さん、早ければ2月にもAMの運用休止が始まります。早いうちにワイドFM対応型ラジオを所有しておくことをお勧めしますよ。