FMCOCOLO×FM802「Our Osaka Our Ozawa」。第2弾はFM802「Poppin’ Flag!!!」(2/21)にて。後編はまとまり過ぎの風潮、与えられた選択肢。全部壊してしまえ!
前編はこちらから。
ゲスト:小沢健二
DJ:板東さえか
何か壊さなきゃダメだ
板東:このジャケットのこともそうなんですけど、まとまり過ぎてるというお話、今すごく引っかかっていて。よく普段考えていることの一つでもあります。
小沢:まとまり過ぎてる。
板東:そうしなくちゃいけないという風潮を感じます。
小沢:そうなんですよね。
板東:すべてではないですが、物事が画一化されているということに対しての違和感ということを友達とよく話します。
小沢:そうなんですよね。もちろん、今同じ時に生きていて去年日本に長い時間居て、それはすごく感じて。同時代を生きてるみんなで「どうしようか」みたいな気持ちはすごくあって。僕は僕の表現形態からすると、とりあえず何かいろいろぶち壊せるところはぶち壊さないといけないと思って。でもそれに気が付き始めると奇麗に出来たものを見ると「ウッ」ってなる時がありますね。「なんでこんな一生懸命、角が立たないようにしてあるんだろう」とか思って。でもこのジャケットは角立ちまくりなので。どう並べていいか分からない。
板東:そうですね、そうなんですよね。前作、前々作、私レコードショップでも働いているんですけど、棚に並ばないという。これはじゃあどう陳列されるんだろうってまず最初は思いましたね。
小沢:そうなんですよ。前のは一応7インチっていう形態を踏まえていたんですけど、今回は踏まえるとか止めよう、踏まえなくていいよ。で、あれはあれで7インチジャケットにしたのは、そもそもCDのプラスティックケースっていう世界がなかったらどんなだっただろうっていう発想で、CDのプラスティックケースってすごいたまだま生まれたもので、あれが生まれた時にはあれに合う棚ってなかったんですよ。
板東:そうですよね。
小沢:あの時にあったのは、7インチの棚はあったわけで論理的に考えれば7インチの大きさでジャケットを作るのが正しかった。そしたらそのままの棚で行けたので。ところが、何かであんな形になっちゃって。
板東:12センチの。
小沢:それに合わせて当時は無理やり12センチの型にも合わないからアダプターってのが生まれて、タワーレコードとかでは。もうすごい量のプラスティックのアダプターが現れて、CDをちゃんと形に見せるための。もう何だか分かんないですよ。だから世の中論理的に進んでいると、正しいものが勝って自然淘汰していく、全然そんなことないです。世の中ものすごい非合理なことがいっぱい起こっていて、CDケースはそれの最たるもので、全く意味なくあの形になったと思うんですよ。それがおかしくて、「これ、なんでもともとあった7インチの形にしないの?」と思って。誰かが一言言っていたら全く違う世の中になっていて、ひび割れたCDケースはこの世に1個もなかったはずなんですよ。それも面白いんですけど、あれはたまたま7インチのサイズで論理的に世の中が進んでいたら7インチだったなあと。それに合わせて7インチだったんですけど。でもそのこと自体が耐えられなくなって。それでもう何の形でもない形に。
板東:言い表せない形ですね。切り取ったものっていうか、
小沢:そうですね。何か、どこにもないもの。それはやりたくなったんですよ。でもそれは日本に長くいないとそういう気分にならなかった。たださえかさんが感じていることと似たようなこと僕も感じていて、「ああ、何か壊さなきゃダメだ」ってすごく思いました。去年。
板東:壊したいですね。何か。
小沢:何か壊せるものがあったら、ちょっとずつみんなでひび割れを作って行こうかな。そんなにものすごく壊さなくてもいいと思うんだけど、何か少しピキッてひび割れると向こうのひびがピキピキピキって響きあって、割れるのではと思ったりして。それはもう世代とか全然関係ない話で、今一緒に生きている人たちみんなでやらなきゃしょうがないので。大人から子供まで。