#小沢健二 「”花が色で虫をおびき寄せて”とか男が勝手に言ってるようなことを植物にまで当てはめただけ」 #ozkn #fm802 #fmcocolo765

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“正しい狂気”って何だ

加美:僕もラジオのディスクジョッキーをしていると常々思うのはラジオって今はパソコンの中で声が聞こえるようになったけど、そもそもは発した声が波として、空気に浸透しながらいろんなとこへ伝わっていくという。これはもう非常に奇跡的なことであって。でその奇跡の中で僕は言葉を発するんだったらその言葉に責任を持つと同時に、やっぱり美しい言葉というかキャッチしたい言葉…自分の美観と接点として一緒にフィットするような言葉を探して出来る限りいろんな人に分かってもらえるような言葉をっていつも探るんですよ。で、僕はだからその中にカッコいい言葉とかエエのもらったとかすると「これ使ってみようかな?」。昔三島由紀夫さんが「正しい狂気」っていう言葉を本の中でたまたま見つけた時に、”狂気”という非常にダークなイメージに前に”正しい”という言葉をつけることによって、一気に光が差して正当化してるようなイメージ化と思いや、当時の僕は少年だったから分かんなくて、”正しい狂気”って何だろう。だけどそれをどんどんどんどん年齢を重ねていって50を超えると、何となくわかったような気持ちになって詩的に捉えると言うのかな?分析とかしないんですけど、刷り込んだ自分の人生とフィットしてくるっていうか。ああいうのにすごく気になるんです。だから僕、小沢健二さんの歌の世界ってホントに…「カッコいいこの言葉、拝借しよう」とかそういう気持ちにいつもさせてもらってて、僕は非常にいつも反応してるんです。

小沢:ありがとうございます。

加美:言葉を紡ぐ時ってどうですか?

小沢:歌詞はやっぱり簡単には書けないっていうか、歌詞の中で…1曲の中で言えることってそんなに長くないんですよね。その中でどうやって密度濃く、あと歌としての強さを持つかっていうか、それが出来てるやつは90年代に書いてたのが今残ってるし、それはすごくやってよかったと思うし、今書くときも後で聴いて古びないだけの強度を持ったやつを書きたいと思うんですよね。

東京は街が鳴っている

加美:僕は昔ね、「東京の音楽カッコいいな」とか1990年、フリッパーズギターが出て、小沢健二さんが93年ソロデビューされて、あの頃東京に行くと東京ってすげえカッコいい音楽いっぱいある。で、これまで大阪にいると…例えば飲み屋で飲んで音楽の話したらおっさんにくだまかれる。けど東京行ったらそんなことなくてすごくとんがった音楽にどんどん触れることが出来る。その時思ったのが「東京ってのは街が鳴ってんだな。大阪ってのは人が鳴ってんだな」ってイメージをしたんですね。

小沢:なーるほど。面白い!

加美:で今回の”流動体について”を聴いた時にすごく街が鳴ってて、僕の中ですごく東京の街が見えてきた。

小沢:ありがとうございます。これは面白い話だ。すごいなあ。え?”流動体について”…それはすごく当たっているんですね。それでもっと今の話を考えてみようと思うんですけど、今僕は90年代に聴いていてっていう人にお会いする時があるんですけど、それが大体みんなすっごく良くて、会う人会う人。変な意味じゃなくていいんですよ。すごく良くて。そういう人はちゃんと聴いてくれるし、それを僕に返してくれるし。今言われてすごく”流動体について”の一部がすごいよく分かった気がしたんですけど。これは言葉っていうので言えば、ただ言葉は発してそれが消えていくんじゃなく何か返ってくるので、それはかけがえないですね。今おっしゃってくださったようなことがチラリとでも返ってくるんですよね。何かの拍子に。大体はこうやって個人的に話してる時に返ってくるんですよ。その時に「ああ、言葉出すとちゃんと返ってくるんだなあ」と思って嬉しいですし、さっきの”説明屋さんがやってくる”にしても、そうすると僕の音楽に説明をしてほしくないのかとかそういうことでは全然ないんですよ。あれは別の話なんですけど、今例えば返してくださったことって、”説明”じゃないじゃないですか。”詩”っていうか、「自分はこう思うよ」っていうことをバーッと言ってるんであって、「これが正しい解釈だよ」ってことじゃないじゃないですか。でもそのバーッていう詩が返ってくるの嬉しいですよ。詩を出すと詩が返ってくるというか。でその投げ合いは楽しいし、その一部になれたら素晴らしいし、今までそれになれてると思ってるんですよ。だいぶ昔に聴いた曲でも、最近の”フクロウ”にせよ”流動体”にせよ”アルペジオ”にせよ、何かが返ってきてその時はすごく自分が詩を出してよかったなって思う時ですね。

ライブにかける思い

加美:ライブとかってどうなんですか?小沢さんにとってライブは皆さんとエネルギー交換というかこれまでのファンのみなさんと一緒にっていうような感覚なんですか?

小沢:そうですね。ライブをやるとボロボロになります。

加美:ボロボロというのは?

小沢:すごい場所ですね。それに”流動体について”にしても、あれ実はその前、2016年にツアーで7曲新曲をやったんです。要するに聴きに行くと新曲しか印象に残んないツアーをやったんですけど。その時に全くすっごいラフな形で演奏していて、その時にライブ会場でもらったものが大きくて、「これ録音しよう」と思ったので。別にあれで返ってくるものがなかったら別に録音しないんでいいっちゃいいんですけど。すごい「これ録音しなきゃダメだな」と思って録音したっていうのがあるので、やっぱりライブが場所としては基本な気がします。ただ、それでもらったものはきっちり録音しなきゃいけないし。”アルペジオ”はそういう中で全くライブでやらないで書き下ろしで書いてるんですけど。それの違いもちょっとあるかもしれないですね。

加美:僕ホントに小沢健二さんからもっともっと音楽をインプットしていっていいんだっていうね、気持ちにさせてもらった訳ですよ。所謂「知らないことはカッコ悪い」って思っていた僕たちの周辺が、「知らなかったって、探せばいいじゃん」って。例えば誰かが知ってて僕が知らなかった。「ええ、知らないの?その音楽知らないの?」って言われたら「一緒に探せばいいじゃん」って言う。どんどん自分の知識とか音楽の幅が広がっていくっていうのを僕は体感した1990年代だったんですね。

小沢:ありがとうございます。

加美:そういった意味でもこれから19年ちょっと空きましたけども、日本での様々なアウトプットが、発信が、僕らの中へのインプットになって、また今度僕らが何かの形で気持ちをアウトプットしていくことで、小沢健二さんがインプットしてくれる。この感じ、これから僕楽しみにしていますし、また自分たちもかかわれてるような気がしてね。

小沢:いやホントそうなんですよ。なんせ僕聞き手がすごいので、そこの聞き手に対しては責任を取りたいと思うというか、ちゃんと作りたいと思います。ライブもそうだけど、そんなにすごく大量に分かるようにやるってことはできないんだけど、何か探してくる人にはちゃんと合うものを作ってと思ってます。

加美:これからは小沢健二もいるし、小沢健二の音もあるし、ワクワクしてるんで。

小沢:ありがとうございます。大阪は横幅11メートル、高さ2メートルみたいな…梅田の通路におっきい看板が出ていて、それをデザインして入れたとこなんですけど、もうそろそろ出ているはずと思われます。ぜひ、梅田で見つけてください。

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