[FM802]ヘビーローテーションについて語る~これからの展望は?

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どうもです。今回はFM802が発祥と言われる「ヘビーローテーション」のこれからの展望について考えていきます。興味のある方は是非ご覧ください。

別ページで過去10年のヘビーローテーションのデータ(チャートデータ)をまとめておりますので、こちらも是非。

ここでは2008年以降のヘビーローテーションの楽曲紹介とOSAKAN HOT 100でのチャート成績をまとめています。またSpotifyのプレイリストも置いてありますので、曲を探して聴いてみたい方はぜひご覧ください。

ヘビーローテーションとは

初めに「ヘビーローテーションとは何ぞや。」と言う方に説明すると、簡潔に言えばラジオ局がおススメの曲を1日の内に何度も繰り返しオンエアすることを表す言葉です。

デジタル大辞泉 - ヘビーローテーションの用語解説 - 短い期間に何度も繰り返すこと。特に、ラジオ局などが、推薦曲を繰り返し放送することをいう。ヘビロテ。パワープレー。

日本で最初にこのヘビーローテーションを導入したラジオ局がFM802と言われております。今から30年前になりますね、音楽を主体としたFM局を標榜していた802は、開局当初からアメリカのFM局のフォーマットを取り入れようとしました。アメリカでは1週間から2週間のタームで事前にオンエア数のバランスを「ヘビー」「ミドル」「ライト」とランク別に分けたうえで、ディレクターが楽曲をそれぞれランク別にリスト化して、これを基にして各番組が選曲するのがオーソドックスなシステムでした。

ただしアメリカではあらかじめ新曲のリサーチを行ったうえでどういう曲がヒットするのかをランク分けした、テスト・マーケティング的な一面があったのに対し、FM802ではあくまで「802のヘビーローテーションからヒットした」、つまり「802でかかっているからヒットしているんだ」というものを目指して、ヘビーローテーション制度がスタートしたことになります。

とは言っても現在の形に定着するには少し時間がかかった。開局した当時、ヘビーローテーションに選ばれていたのは今と違い4曲もありました。中にはすでにトップアーティストになっていたユーミンの「ANNIVERSARY」(シングル自体もヒットしたが、アルバム「LOVE WARS」は200万枚を超える大ヒットとなった。)も入っており、さすがに802発のヒットにはならないだろうということで、徐々にブレイク前の新人アーティストを掘り出す、選曲も洋楽・邦楽1曲の計2曲を1か月間かけるという現在の形に移行していきます。

こうしてブレイク前のスピッツやDREAMS COME TRUE、Mr.ChildrenにKAN、槇原敬之など現在では超一流へと飛躍したアーティストを次々と掘り出し、狙い通りに802発のヒットが生まれていきます。そのほか平成のラジオヒットを語る上で欠かせない、「ランバダ」とかSTIEVIE B.の「BECAUSE I LOVE YOU」、SHANICE「I LOVE YOUR SMILE」、LENNY KRAVITZ「ARE YOU GONNA GO MY WAY」、JAMIROQUAI「WHEN YOU GONNA LEARN?」などもヘビーローテーションに選ばれていました。FMラジオ局が輝いていた時代と言ってもいいでしょう。他の局も802に追随し、「パワープレイ」などと呼び名を変えたりしていますが、やってることは802と同じです。

ちなみにヘビーローテーションの選出には、レコード会社が宣伝の一環としてラジオ局に宣伝料を支払って演奏させる、もしくは楽曲の出版権を持って売り上げ収益を得るという出版ビジネスとして行うパターンと、ディレクターやDJ、スタッフなどが持ち寄ったうえで最終的に編成部で決めるボトムアップ方式のパターンとに分けることができます。802の場合はもちろん後者に当たります。

詳細はこちらの記事に書かれているのでご覧ください。

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ヘビーローテーションの現在の課題

このように平成という時代に大きな功績を残したヘビーローテーションですが、ここにきて課題も見えてきています。ここでは令和、そして2020年代を迎える前に私の考える課題と提言(デカいことを言って申し訳ありません)を書いていきたいと思います。

旬の楽曲と選出される曲のズレが生じている

まず第1に「今が旬の楽曲を獲り逃してしまい、選出されているときには出がらしになっている」ことを上げてみます。

去年の3月のヘビーローテーションにPortugal. The Man「Feel It Still」を選出していました。アルバム「WOODSTOCK」の日本盤が4月頭にリリースされるのに合わせての選出、ならびにサマソニ出演もあったわけですが、この曲、本国アメリカでは前年の夏から秋にTOP10入りするなどロック不遇の時代の大ヒットとなったわけです。

一昔前だと、こういった曲は情報源がラジオかMTVとかでしか分からなかったかもしれませんが、今ではYoutubeもあり、SpotifyやApple Musicといったサブスクリプションサービスもあって音楽に触れる、手に入れる機会が格段に増えてきました。つまりヘビーローテーションになった時点で知っている人も少なくなかったわけですし、「今更?」と思われた方もいることでしょう。それだったらさあ、スーパーオーガニズムのアルバムが3月に出てたからアレにすればよかったんじゃね?と個人的には思ってましたもの。

そうそう、こういうアンケートもとっていました。

他には去年11月のエラ・メイもこのパターンですね。「Boo’d UP」がヒットしたのって去年の7月ですよ。これもアルバムの日本盤が出るタイミングでの選出だったんですけど、あまりにも旬を過ぎてから選ばれているといった印象しかありません。この11月にはTHE 1975が傑作のアルバムを出していたので、これにすればよかったんじゃないのと思ったこともあります。

選出されたアーティストはホントに”802発”だと言えるのか?

第2に選出されたアーティストを胸を張って「802で掘り出した」と言えるのか疑問な選出パターンが近年増えている印象もあります。

例えば去年の10月に「Stand By You」で選出されたOfficial髭男dismですが、もともとその前に「ノーダウト」がOSAKAN HOT 100で1位を獲得していました。なのでただでさえ、このタイミングの選出は遅いんですよね。しかも「ノーダウト」ってドラマ主題歌だったんです。802の栗花落代表は先のインタビューで「CMやドラマのタイアップだとか、他の要素でヒットする楽曲はヒットしたとしても802発と言えるかどうか」とおっしゃっていましたが、これこそまさにドラマのタイアップで名前が知られたってパターンじゃないのかなと思わずにはいられません。

802のDJ・樋口大喜氏が番組で前々からプッシュしていたので、そのタイミングで選出されればよかったものを、ドラマの主題歌で知名度が上がったアーティストを後出しジャンケン見たくヘビーローテーションにしました、というのでは果たして802発だと言えるんでしょうか?

2016年7月に「MINT」で選出されたSuchmosも正直遅いタイミングですね。その前の「Stay Tune」がOSAKAN HOT 100でも2位になっていましたが、この作品、MVの舞台がJ-WAVEで、曲ももともとJ-WAVEの番組のジングル用に制作したものがモデルになっているという、まさにJ-WAVE発のヒットと言った方がふさわしい曲でした。全国でもすでに「Stay Tune」をパワープレイにしていた曲も多く、明らかに802はアクセルを踏み遅れた格好になります。それでも「802で掘り出した」アーティストだと言えるのでしょうか?

また、ヘビーローテーション以外ではPerfumeやUNISON SQUARE GARDENあたりは後出しジャンケンみたく知名度が上がってからプッシュした感じもあり、それを”802ゆかりの…”とか言われても、それは違うんじゃないの?と言いたくなりますね。しかもヘビーローテーションに選出されたアーティストよりもかかることも多いからなあ。テイラー・スウィフトとかレディー・ガガとか。今のオンエアのされ方を考えると、なぜ選ばれなかったのかはなはだ疑問ですね。

選出されたヘビロ以上にオンエアされる楽曲がある

第3に「ヘビーローテーション以上にオンエアされる楽曲があって、相対的にヘビーローテーション楽曲がかすむ」ことが挙げられます。

これが何を言っているかと言えば、「ACCESS!」キャンペーンソングのことですよ。”必ず1番組で1回オンエアされる”というヘビーローテーションのお株を奪うオンエアのされ方、さらに「おかわりオンエア」と称した1番組で2回以上かけるというやり方などで、ヘビーローテーション楽曲をしのぐオンエア数を1週間に記録します(およそ10回分くらいは違っています)。

さらに、ヘビーローテーションは月ごとに変わりますが、「ACCESS!」キャンペーンソングはキャンペーン期間はほぼこのペースが続きます。だから1か月半から2か月くらいですね。ヘビーローテーション以上のオンエアをヘビーローテーションの期間以上行うという待遇の違い。確かに”ドリームプロジェクト”と称しているので分からなくはないが、それじゃ何のためにヘビーローテーション選出してるの?これじゃかすんじゃって印象に残らないってこともあったりするんじゃないんですか?

ちなみに、ヘビーローテーション選出のアーティストの中でもあいみょんやsumika、米津玄師など今まさに大量にかかっているアーティストはほんの一握りで、中には解散したり、引退したり、その後の所在が分からなくなったりしているアーティストもいて、802でさえも曲が聴かれなくなったということがざらにあります。そういうこともあるのでヘビーローテーションはキャンペーンソングよりも大切にしていきましょうよ。

ちなみにヘビーローテーションで年間1位となったのは1997年のHANSON「MMM BOP」、2005年のDef Tech「My Way」、2006年のDaniel Powter「Bad Day」となっています。ただ年々週間チャートで1位を獲ること自体が難しくなり、直近では2014年12月のヘビロだったSam Smithの「Stay With Me」までさかのぼらないといけません。しかもこの曲が1位になったのは翌2005年の2月22日からで、ヘビロの期間とはずれが生じています。これはグラミー賞の主要部門を制したことと、来日公演があった関係で2月にオンエアが伸びたためです。

邦楽・洋楽1曲ずつの選曲に無理が出始めている

第4に「そもそも邦楽と洋楽それぞれ1曲ずつ選曲すること自体に無理があるのではないか」ということですね。

開局当時は4曲選曲していたこともありましたが、1曲1曲の密度を濃くするために、1990年10月ごろから現在の邦楽洋楽1曲ずつという形式に切り替えました。以降、2008年7月だったかな、ROCK’A’TRENCHの「Every Sunday Afternoon」が802で話題沸騰となって、関西限定盤でCDが出ることを受けて急遽ヘビーローテーションに選出されて、あの月だけが3曲でしたが、後は一貫して邦楽洋楽1曲ずつというスタンスを変えていません。

ただ時代が変わり、そもそも邦楽と洋楽で分ける必要性があるのか、疑問に思うことも増えてきました。先にも書いた通り、今ではサブスクリプションサービスに代表されるストリーミングサービスが普及し、音楽市場ではダウンロードの年間売り上げを上回りました。ネット環境があれば、音楽に触れられる機会が格段に増えたわけです。

一般社団法人日本レコード協会によると、2018年音楽配信売上は645億円で5年連続プラス成長。ストリーミングが市場をけん引し7年ぶりに600億円超えだという。ストリーミング売上349億円、初めてダウンロードを上...

ということは世界各国で自国の、あるいはそれ以外の国の曲に出会うチャンスが増えたことになるので、もう洋楽だの邦楽だの関係なく聴いてる人がたくさんいるのではないでしょうか?

さらに近年、ジャンルも国境も超えたグループが誕生しています。多国籍バンドのスーパーオーガニズムやアジア発のガールズグループも出てきています。また、日本のバンドでありながら海外を拠点に活動するDYGL、反対にアメリカ人でありながら日本に在住して曲を作るTHE CHARM PARKのようなアーティストもいます。それを簡単に「洋楽だ、邦楽だ」で線引きしてヘビーローテーションに選出する必要があるのでしょうか。そうやってヘビーローテーションの選から漏れてしまうアーティストも出てくるとなるともったいないような気もしますけどね。

だからいい曲があったら結果的に洋楽2曲になろうが、邦楽2曲になろうが、両方合わせて1曲だろうがいいと思いますよ。だってそもそも「洋楽だ、邦楽だ」っていう線引き自体がもう今の時代にそぐわなくなっていますから。

まとめ

以上のことを踏まえて、簡潔に提言してみました。

  • 旬な楽曲は配信だけとか、国内盤が出ていないなど、リリースの媒体がどうであれ旬なうちにヘビーローテーションにする。日本のレコード会社の都合で出がらしの状態のヘビーローテーション選出はNG。
  • ヘビーローテーションが2曲で足りない場合は3曲にしたり、逆に1曲だけにしてもよい。
  • 洋楽邦楽で分けることなくヘビーローテーションを選出する。
  • ヘビーローテーション以外の楽曲は多くても15回前後で抑える。キャンペーンソングも然り。

あとはヘビーローテーションのチャンスを増やすため、または飽きを少なくさせるために、1か月というヘビーローテーションのタームを見直した方がいいかもしれませんね。

以上がヘビーローテーションのこれからの展望についてでした。別ページで過去10年のヘビーローテーションのデータ(チャートデータ)をまとめておりますので、そちらも是非ご覧ください。

ここでは2008年以降のヘビーローテーションの楽曲紹介とOSAKAN HOT 100でのチャート成績をまとめています。またSpotifyのプレイリストも置いてありますので、曲を探して聴いてみたい方はぜひご覧ください。