2020年も恒例の上半期チャートの季節がやってまいりました。今年はスペシャルウィークがないみたいなので上半期って感じもしないですけどね。
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激動かつ停滞し続ける2020年の音楽シーン
さて、2019年の年間チャートでは史上初となる同一アーティストのワンツーフィニッシュ、それもスタッフのpdf更新ミスで10時に答えが分かってしまっているにも関わらず1位予想のクイズを出すという、衝撃と怒りの結末(個人的に)で幕を閉じました。
その立役者であるOfficial髭男dismは更に今年もフルスロットル。1月1日からいきなり新曲を解禁、大量オンエアとデジタルセールスによって前半戦の主役を担う、かに見えました。
しかし、世界中を恐怖に陥れているCOVID-19のパンデミックによって日本も大きな影響を受けていきます。2月下旬にはライブを中心としたイベントの自粛要請が政府から出され、これによりアーティストはツアーなどの延期や中止を余儀なくされます。そして、感染者数の増加に歯止めがかからなくなった4月には緊急事態宣言が出され、もはやライブどころか、プロモーションやCDのリリース、レコーディングスケジュールそのものに影響が波及。更には映画公開の見通しも立たなくなったり、撮影そのものが出来なくなったりなど、エンタメシーンは完全に停滞してしまっています。
一方で新しい生活様式の中でのライブを模索する動きも出てきていて、東京や大阪では行政がライブハウス(小劇場や演芸場なども)を支援するために、いわゆる”無観客”でのライブ配信などに対して補助金を出す取り組みも始まりました。これ以外にも有料、無料問わずライブ配信を行っているところが増えてきています(個人的には無観客という言葉を使いたくないので、今後”クラウドオーディエンス”という表現はどうでしょうか?)。アーティストの本音としてはあくまでもライブハウスで直に観客と触れ合いたいという思いでしょうが、逆に家にいながら、あるいは公共交通機関で移動しながらライブ配信を見ることが新しいライブのスタイルになるというのもまた気軽でよさそうな気もしますけどね。
世界に目を向けると、ウイルス禍の影響は相当に深刻化しており、日本でもそうでしたが大規模なフェスは軒並み中止か延期となっています。この影響でレディー・ガガなどアルバムのリリースを延期したアーティストが続出しており、Weezerのようにツアーと合わせて1年延期するパターン、アリシア・キーズのようにリリースが未定となったパターン、サム・スミスのようにタイトルも含めていったん白紙となったパターンと打撃をかなり受けてしまっているのが分かると思います。
そこに輪をかけて、5月25日にはアメリカで、黒人男性に対して白人の警察官が過剰な暴行によって死なせるという事件がまたも発生。先述したレディー・ガガなど著名なアーティストたちが抗議メッセージを送ったり、デモに参加したりするなどして差別問題、ひいてはその問題を助長させている政権への批判を強めています。一方で政権側も今回のデモを「テロ活動」と断じ、場合によっては軍を動員することもいとわないとし、事態は深刻の度合いを増しています。
こうした中、6月2日は大手レーベルが共同で「ブラックアウトチューズデイ」を実施。差別に反対し自らのコミュニティの大切さを改めて認識するためにレーベルでは一切の業務を停止したり、アーティストが黒一色の画面にメッセージを書いた投稿を送ったり、ストリーミングサイトでは通常とは全く異なるプレイリストを表示したり、更にはこの週にリリース予定だったアルバムが先送りになったアーティストも多く、”#TheShowMustBePaused(ショーをいったん止めなければならない)”というメッセージのごとく、今はエンターテイメントどころではないといった風潮になっています。
データ
ウイルスへの不安がぬぐい切れない中、新たなライブを模索する日本と、人種差別問題への抗議によってエンタメそのものが止まった海外。いずれにしてもこれまでのようなリリスケやプロモ、ライブはかなり厳しくなっています。そういった中での上半期チャート。果たしてどのような結果となるのでしょうか。
今回の集計期間は例年通りで行くと2019年12月22日から上半期チャート発表当日の2020年6月14日までとなっています。この間の1位獲得楽曲についてはこちらからどうぞ。これで見ると最も1位を獲得しているのが今年のACCESSキャンペーンソング「僕のBUDDY!!」となっています。アクキャンソング初のV5となったわけですが、上半期ではどこまで行けるのか。
期間内で最もチャートインしていたのは?
続いてこの26週で最もチャートインしていた楽曲を見ていくとこうなっています。
- RANK
- Title / Artist
- On Chart
- 1
- Blinding Lights / The Weeknd
- 26WKs
- 1
- Pretender / Official髭男dism
- 26WKs
- 1
- Teenager Forever / King Gnu
- 26WKs
- 4
- フレア / Superfly
- 24WKs
- 5
- I LOVE… / Official髭男dism
- 23WKs
- 6
- アイスクリーム / Rude-α
- 22WKs
- 7
- bad guy / Billie Eilish
- 21WKs
- 8
- Dance Monkey / Tones and I
- 20WKs
- 8
- イエスタデイ / Official髭男dism
- 20WKs
- 8
- LEMON / 米津玄師
- 20WKs
現在エントリーしている楽曲が(「Blinding Lights」「Pretender」「Teenager Forever」「I LOVE…」「アイスクリーム」「bad guy」)が6月14日付でもランクインしているとみなしてのデータです。86位の「アイスクリーム」は微妙ですが…。
「Blinding Lights」「Pretender」「Teenager Forever」の3曲がフルエントリー。「Blinding Lights」と「Teenager Forever」はチャートインが昨年の12月15日だったのでもろ集計期間ドンピシャになってますね。
期間内で最もTOP10にチャートインしていたのは?- RANK
- Title / Artist
- On Chart
- 1
- I LOVE… / Official髭男dism
- 15WKs
- 2
- スターマーカー / KANA-BOON
- 11WKs
- 3
- Teenager Forever / King Gnu
- 10WKs
- 3
- Stupid Love / Lady Gaga
- 10WKs
- 5
- 愛す / クリープハイプ
- 9WKs
- 5
- 僕のBUDDY!! / レディオカリー
- 9WKs
- 7
- センス・オブ・ワンダー / sumika
- 8WKs
- 7
- アメイジングレース / go!go!vanillas
- 8WKs
- 9
- yummy / Justin Bieber
- 7WKs
- 9
- 青空 / aiko
- 7WKs
6月14日付の週間チャートで、現在V5中の「僕のBUDDY!!」、ならびに現在13位の「アメイジングレース」(フィジカルリリース週でオンエアが回復しTOP10返り咲きが濃厚)の2曲がTOP10入りするとみなしてのデータです。1曲図抜けてますねぇ。
期間内で最もTOP20にチャートインしていたのは?
さらにTOP20に伸ばすとこのようになります。
- RANK
- Title / Artist
- On Chart
- 1
- I LOVE… / Official髭男dism
- 20WKs
- 2
- スターマーカー / KANA-BOON
- 13WKs
- 2
- Teenager Forever / King Gnu
- 13WKs
- 3
- Stupid Love / Lady Gaga
- 12WKs
- 5
- センス・オブ・ワンダー / sumika
- 10WKs
- 5
- 僕のBUDDY!! / レディオカリー
- 10WKs
- 5
- アメイジングレース / go!go!vanillas
- 10WKs
- 8
- 愛す / クリープハイプ
- 9WKs
- 8
- yummy / Justin Bieber
- 9WKs
- 8
- 青空 / aiko
- 9WKs
- 8
- 素晴らしき嘘 / flumpool
- 9WKs
こちらも「僕のBUDDY!!」と「アメイジングレース」が6月14日付でもTOP20入りしているとみなしてのデータです。若干1曲図抜けてますね。もう答えが出ているような気がする…。
なお、2019年年間チャート展望で出した「期間内で週間ポイントが最も高かった曲」については割愛します。8000ポイント越えが1回もなかった「Pretender」が9000ポイント越えのある「Wasted Nights」よりも上に来たわけですからね。瞬間最大風速はあてにしないことにしますよ。
ではこれを踏まえた上半期チャートのTOP20想定です。